パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂へ
アーティゾン美術館にて企画展「パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂へ」を開催していると知り、終了間際ですが鑑賞してきました。企画展としての完成度が高く、非常に満足して帰路につきました。
2フロアを丸々使い以下の構成に沿ってパリ・オペラ座を紐解く仕様になっているのですが、周辺情報の充実度が本展の素晴らしさに繋がっていたように思います。
現在パリで「オペラ座」が指すのはガルニエ宮ですが、その前身となるル・ペルティエ劇場にも触れながら、フランスにオペラという文化が持ち込まれた頃からの歴史が流れるように示されていました。
章構成
序曲:ガルニエ宮の誕生
第Ⅰ幕:17世紀と18世紀
(1)「偉大なる世紀」の仕掛けと夢幻劇(2)音楽つきの「雅宴画」(フェート・ギャラント)
(3)新古典主義の美的変革
第 II 幕:19世紀[1]
(1)ル・ペルティエ劇場(2)グランド・オペラ(3)ロマンティック・バレエ
(4)装飾職人と衣装画家 *パリの観劇をめぐって
第 III 幕:19世紀[2]
(1)グランド・オペラの刷新(2)ドガとオペラ座(3)劇場を描く画家たち
(4)ヴァーグナーの美学 *作家とオペラ座 *ジャポニスムとオペラ座
第 IV 幕:20世紀と21世紀
(1)バレエ・リュス(2)近代芸術とオペラ座(3)画家・デザイナーと舞台美術
(4)演出家と振付師のオペラ *映画とミュージカル
エピローグ:オペラ・バスティーユ
外観、内装、演者、演出家、観客、制作依頼者、情勢や歴史など、オペラ座を巡る全てのエッセンスがその因果関係とともに詰め込まれていました。特にル・ペルティエ劇場時代のエリアがまさに中世!を感じさせてくれて私は好きでしたね。
オペラに感動した画家が描いた舞台装置の絵も飾られているのですが、その豪華さたるや。そしてロマンティック・バレエ時代のバレリーナの絵が可憐で好きでした。
パンフレットなどにも載っていますよね。シャロン氏、調べてみると英国の画家だそうで!
[Wikipediaより]
アルフレッド・エドワード・シャロン(Alfred Edward Chalon RA、1780年2月15日ー1860年10月3日)はスイス生まれのイギリスの画家である。
当時の芸術家たちは国境を跨いで意欲的に活動していたんですね。
トゥシューズやチュチュなどが導入されたのはこの頃からだったようです。衣装の繊細さとバレリーナたちの可憐さが絵から伝えわってきますよね。一方で、オペラ座は当時民間企業だったので収入も確保せねばならず、その一環として特別会員へはバックステージ見学と称してバレリーナと接触を取れる機会を設けるなどのサービスも実施していたようです。当時の会員との様子(バレリーナの腰におじ様が手を回してたり・・!)が分かる作品もありました。
本展には、当時の情勢が赤裸々に描かれた作品も展示されており、例えばホールに入る前の階段で男性が女性をナンパしている風景を描いたものも飾られています。今も昔も変わらないものはあるのか、と妙なところでしみじみしてしまいました。
そのほか、特に印象深かったのはルヌヴーの天井画です。以前パリでガルニエ宮を訪れた時にマルク・シャガールの天井画を眺めて感動したのを覚えています。彼の絵はモーツァルトの「魔笛」やチャイコフスキーの「白鳥の湖」などオペラ座の作品をがモチーフとなっている素晴らしい作品でしたが、以前は別の絵だったとは全く知りませんでした。
[Wikipediaより]
ジュール・ウジェーヌ・ルヌヴー(Jules Eugène Lenepveu, 1819年12月12日 アンジェ - 1898年10月16日 パリ)はフランスの画家。歴史画や宗教画を得意とした。
この天井画もすごく素敵だったので実際に天井に飾られていた時を見てみたかったものです。
今回取り上げたのは2作品ですが、ここでは言い尽くせないほど見どころが沢山ありました。オペラ文化を巡るイタリアとフランスの微妙な張り合いだったり、日本開催ならではのジャポニズムとの関係だったりとにかく盛りだくさんでした。
オペラ座を実際に訪れたときとも違う、時を超える擬似体験に没入できて企画展の真価を見たような気がします。様々な視点から切り込まれているため、オペラやパリについて詳しい有識者も、私のような初心者も老若男女楽しめること間違いなしです。
実際に来館者には属性の偏りがあまりみられなかったような気がします。なんだか最近日本国内の芸術への関心が高まっているような気がするのは私だけでしょうか?
皆さんもぜひ訪れてみてください!
この後アーティゾン美術館のもう一つの企画展と常設展も鑑賞し、それがまたとても充実していたのですが、その話はまた別の機会に。
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ミュージカル「ビリーエリオット」観劇
最近は仕事も落ち着いていたので行ってきました、ビリーエリオット。
王道以外のミュージカルって難しそうでちょっと敬遠してたんだけど、自分の夢を叶えるために奮闘するビリーに入れ込みすぎて終幕する頃にはつい涙を流してしまうまでに…。あらすじだけ見ると、イギリスの炭鉱が舞台とか遠い世界に感じて躊躇しちゃう人もいると思うけど、年代関係なく、いやむしろ若い人の方が心打たれるのでは?と思った作品でした。
この作品はこんな人におすすめ
✔︎時たま周りとのズレに悩んでいる人
✔︎家族への愛がたっぷりな人
✔︎カッコいい女の人が見たい人
(元宝塚の安蘭ケイさんが出演されててすっかりファンになってしまいました…。)
✔︎久々に海外を感じたい!って人
おすすめシーンはこちら!
ビリーが友達のマイケルに勧められて女性ものの服を着て歌い踊ってるシーンなんだけど、人の目を気にせずしたいことをしてる時って人はこんなに楽しそうになれるのか、と感慨深くなった場面でした。